FRP防水とは
 FRPについて
FRPは繊維強化プラスチック(Fiberglass又はFiber Reinforced Plastics)の略称で、ガラス繊維などの強化材(補強材)で補強されたプラスチックという意味です。
FRPは数々の優れた特性を持っており、例えば強度・耐久性・耐水性・成型性等が優れていることから、船舶、水槽、バスタブ、自動車、建材等に広く使用されています。
なお、FRPの持つ優れた耐久性は、『これがFRPだ!』(プラスチック産業資材新聞)に紹介されています。
 FRP防水の概要・特長
FRP防水は、液状の不飽和ポリエステル樹脂に硬化剤を加えて混合し、この混合物をガラス繊維などの補強材と組み合わせて一体にした塗膜防水です。従って出来上がった防水層は強靭で継ぎ目のないシームレスな層となり、優れた防水性能を発揮します。
また塗膜の硬化速度が速いため、何層も塗り重ねる仕様でも1日で施工を完了させることが可能です。
FRP防水の材料・仕様・用途など全般的な概要を「FRP防水の手引き」にまとめました。この小冊子は、当工業会が作成し防水ジャーナル(新樹社)に2011年4月号から1年間にわたって掲載された記事をベースにしたものです。
 FRP防水の材料
FRP防水に使用される主な材料には、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、補強材としてのガラスマット、保護仕上材(トップコート)、樹脂を硬化させるための硬化剤等があります。
なお、FRP防水の主な材料である防水用ポリエステル樹脂及び防水用ガラスマットについては建築学会・建築工事標準仕様書JASS8・防水工事で材料規格が定められています。
防水用ポリエステル樹脂:JASS8 M-101-2007
防水用ガラスマット(#380:JASS8 M-102-2007
また、当工業会では、従来品に較べ施工時の臭気を大幅に低減した材料を「環境対応型材料」として認定するシステムを実施しています。詳しくはこちらをご覧下さい。
 FRP防水の仕様
 建築学会の仕様   
FRP防水の代表的な仕様であるガラスマット2プライ仕様は、『L-FF仕様』として(一社)日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS8)に記載されています。その後2014年の改定では、参考仕様として、『ウレタンゴム系/FRP系塗膜防水複層工法・駐車場密着仕様』及び『FRP系塗膜防水工法・耐温水/耐薬品性密着仕様』の2つの仕様が取り上げられました。
JASS8の参考仕様とは、『標準仕様ではないが、設計者にとって役に立つと思われ、設計の際に参考になるもの』とされています。
また同じ建築学会から刊行されている「FRP防水工事施工指針・同解説」には種々の用途に対応するFRP防水仕様が記載されています。
詳しくは  技術情報のページへ。
 国土交通省の仕様  
国土交通省が木造住宅バルコニー防水に関する標準仕様を定めています。詳しくは  技術情報のページへ。
なお、仕様の詳細については「公共建築木造工事標準仕様書(令和4年版)」(国土交通省官庁営繕部)第11章「防水工事」をご参照下さい。
 文部科学省の仕様  
文部科学省が改修工事標準仕様書の特記基準において、FRP工法によるプール改修仕様 を定めています。
詳しくは  技術情報のページへ。
 UR都市機構の仕様  
(独法)都市再生機構(UR都市機構)においては、FRP防水工法が浴室防水改修工事の標準仕様として『保全工事共通仕様書』(平成29年版)に記載されました。なお、この工法はノンスチレン型の樹脂を使用することが特徴となっています。詳しくは  技術情報のページへ。
 その他  
(独法)住宅支援機構が『木造住宅工事仕様書』及び『枠組壁工法住宅工事仕様書』においてバルコニーのFRP防水の仕様を定めています。詳しくは  技術情報のページへ。
 FRP防水の施工法
FRP防水の標準的な施工法は、他の防水施工法と同様全国防水工事業協会の「防水施工法」において標準化されており、木造バルコニーの施工については、当工業会が標準施工仕様書を定めています。
また、厚生労働省(中央職業能力開発協会)が実施している技能検定については、FRP防水は平成13年(2001年)から行われるようになり、2025年現在、既に全国で6,000名を超えるFRP防水技能士が誕生しています。
 FRP防水の歴史
FRP防水は1970年代初期に開発され以降国内で急速に普及していきましたが、今日までに至る歴史を「FRP防水工法の歴史」としてまとめました。
 FRP防水の施工実績
国内におけるFRP防水の年間施工実績推移は、FRP防水の年間施工実績の推移(FRP防水材工業会集計)をご覧ください。